2006年02月08日

[外伝]エピソードY キンメダイの帰還

この物語は、アキレス星最高の指導者であり8年前に地球にて永眠された故・タピオカ星人元帥が生前書き記した自伝である。

 んちゃ!タピオカのお兄ちゃんだよ。いよいよアキレス期後期から今日までの話をしよう。

 意図せぬところからこのアキレス星にやってきて、そして即座に大統領の座に着いて約20年。妻も、私も、そして血のことだけを言えば二人の子どもたちも純粋な地球人ではある。しかし家の中での言葉はビフィズス語だし、何よりアキレス星の大統領一家だ。アキレス星民として生き、そして死んでいくつもりだった。地球のことなど思い出したことはなかった。

 この5年ほどだろうか、武力を付けること以外にも当然他星との平和的な貿易も推進してきた我がアキレス星には、あらゆる星の文化や食料が輸入されるようになってきた。サスペンダー星からは質のいい絨毯、チョコラングドシャ星からは車文化、ジェンバジェンバ星からはブタミントン・・・そのどれもが星民たちの渇いた心を癒し、彼らの生活を新たなステージへと導いていった。

 他星出身である私は大統領でありながら貿易担当大臣(貿担相)も兼任していた。ある日いつものようにアキレス星最大の貿易空港であるノリタツ・ラーハー空港へと行ってみると、たくさんのコンテナの中に見慣れた文字を見つけた。

 「EARTH, JPN」

 !!!

 私は複雑な気持ちだった。そういえば数日前にそんな書類に判を押したかもしれない。仕事に忙殺され書類の内容まで確認していなかったのだ。そうか・・・ついに地球とも対等に貿易を行える立場になったのか。そう考えると感慨深くもあり、しかし何か星民への忠誠心を裏切るような背徳感も感じずにはいられなかった。しかしやはり堪えきれなくなり、コンテナのもとへ走り去るや否やその一つを小脇に抱え込み家に持ち帰った(注・地球人である私は重力の関係でアキレス星民より力強く、当然星民がフォークリフト等で持ち上げているコンテナも片手で持ち運べるほど軽い。ただしこの場合中身が地球のものである点には目をつぶることとする)。

 家に帰ってコンテナと対峙した私は、緊張で震える両手ではやる気持ちを抑えつつその扉を開けた。それはまるで小さい頃にクリスマスプレゼントを開けるときのような、また魚の腹を包丁で切り開くときのような。あー、魚か・・・。最近食ってねえなあ。アキレス星にはないもんな。そんなことを考えながらコンテナを開けた瞬間。奇跡が起こった。

 「魚や!魚の宝石箱やー!」

 私が彦麻呂になってしまったのも無理はない。日本から初めてこの星に来たコンテナの中には、私が偶然にも魚に想いを馳せながら開けたコンテナの中には。山のような数のキンメダイが積み込まれていたのだ。これで何十年ぶりかに日本の味が味わえる。

 そうだ、地球行こ。ついでに征服しよ。魚食いたいし。

追記

こうしてタピオカ星人様他ご一行は地球へと旅立った。しかしそんな軽薄な理由からか、くしくも魚の名を冠したヒーロー「魚戦隊サバレンジャー」に死闘の末倒されることとなった。しかし私たちは決して忘れない、タピオカ星人さまを、そして彼が残してくれたものを。そしてここに誓おう、この無念は絶対に私たちが晴らすことを。
アキレス星民一同
posted by Flyers at 19:29| Comment(0) | TrackBack(0) | タピオカ星人自伝 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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