2006年02月28日

第12話 到着

 アキレス星でこのようなことが起こっているとはつゆ知らず、イカレッド、ウミヘビブルー、ヒトデオレンジの3人は地球で厳しい修行を続けていた。そしてさらに1年の月日が流れ、タピオカーン一味が出発するとされる文化の日を迎えた。

「とうとうこの日が来たか。」
「そうヘビね。」
「相変わらず、地球人たちは何の警戒もしてないわね。」

 3人はこの日は修行には出ず、リビングで優雅に田中特製シーフードパスタを食べていた。

「なあ、レッド。今日出発するとなると、奴らは何日後に地球に到着するヘビか?」
「う〜ん、それがわからないんだ。アキレス星と地球がどれだけ離れているかもわからないからな。」
「あんた。それじゃ、どうしようもないじゃない。到着する場所もわからないんでしょ?ほんとに使えないわね。昔から。」
「なんだと!」

 レッドはオレンジにつかみかかった。もうすでに274回目である。ブルーも田中も最初のうちはあまりに激しい喧嘩のため、驚いて必死で止めていたが、今では修行の一環として終始見守っている。

「はあはあはあ。余計な体力使わせやがって。」
「あんたから売ってきたんじゃない!まったくいい年して。」
「それは姉ちゃんも同じことだろ!」
「なんですって!年のことは言わない約束でしょ!」

 今度はオレンジがレッドにつかみかかった。こうして終わりそうで終わらないのも、2人の喧嘩の特徴である。

「はあはあはあ。余計な体力使わせやがって。」
「あんたが変なこと言うからじゃないの!まったくいちいち人の気にすることを平気で言うんだから。」
「デリカシーのなさなら姉ちゃんには負けるけどな!」
「なんですって!あんた女性の敵よ!少しは男らしくしなさい!」

 再びオレンジがレッドにつかみかかった。ここまでくるともう果てしない。2人を無視してブルーは残っていたパスタを食べ始め、田中はお茶を入れに行った。その時、テレビから速報を告げるチャイム音が鳴り響いた。

「2人ともちょっと落ち着くヘビ!なんか変ヘビよ!テレビを見るヘビ!」

 ブルーの声を聞き、レッドとオレンジは手をとめてテレビに目を向けた。お茶を入れに行っていた田中も戻ってきた。すると徹子の部屋が映し出されていたはずの画面が慌ただしい報道スタジオに切り替わった。

「何があったヘビ!?」
「どうせまたしょうもない事件だろ。まったくこんな時になにやってるんだ。」
「あんたも言えた立場じゃないでしょ。」

 しばらくすると、キャスターが動揺した様子でニュースを読み始めた。

「え、え〜、突然ですがニュースをお伝えします。先ほど宇宙船と見られる6つの物体が東京の上空に突然現れました。宇宙船は近くの広場に着陸し、広場の前に店を構える酒屋「親父」の店主を人質に立てこもっているようです。・・・・」

 レッド、ブルー、オレンジ、田中の4人はまさにあっけにとられた様子でテレビに釘付けになったいた。そして事態を飲み込んだレッドが口を開いた。

「こ、これはタピオカーン達なのか!?早すぎるぞ!!」
「そうしか考えられないヘビよ!!ちくしょー!!やられたヘビ!!」
「あんた達、早く行かないと!!」

 3人は何の準備もせず、玄関へと向かった。
 
posted by Flyers at 17:20| Comment(2) | TrackBack(0) | サバレンジャーforever | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月27日

第11話 謀られた川島

 川島は決起集会の後、自分の部屋には戻らないでそのまま監督の部屋に向かった。そしてノックもせず、すごい勢いでドアを開けた。

「監督!なんでタピオカーン様に言ったんです!僕の父がイカレッドだということを!これは僕たちだけの秘密にしておくはずだったじゃないですか!」
「お〜、川島か。まあまあそうカリカリするな。ちょっとここに座れ。」

 監督はそう言うと川島を部屋の奥へと招きいれ、興奮冷めやらぬ様子の川島を自分の隣に座らせた。

「監督!こんなところでのんきに座ってる場合じゃないんですよ!早く僕の質問に答えてくださいよ!」
「これ、落ち着け川島。お茶でも飲んでな。」

 監督は川島にお茶を差し出した。

「こんなもの飲めるわけがありませんよ!」

 川島は出されたお茶を壁に向けて投げつけた。

「・・川島。よく聞いてくれんかの。お前、地球の両親に向けて手紙を書いたじゃろ。」
「・・・なぜ、それを。」
「なぜだか教えてほしいか。お前はこのアキレス星に来てまだ5年足らずじゃ。わからないのも無理はない。この星ではな、他の星に向けて出される郵便物については厳重な検閲が行われるんじゃ。」
「検閲が!?」

 川島は驚きのあまり全身の血の気が一気に引いていった。

「そうじゃ。したがってお前の出した手紙もしっかりと検閲されていたんじゃよ。」
「で、では、僕の書いた手紙は地球に届けられていないということですか!?」
「本来ならそうであるはずじゃ。しかし、このことを聞きつけたタピオカーンがお前を利用しようとしたんじゃ。」
「利用?というと?」
「手紙の内容を変えたんじゃよ。」
「え!?」

 川島は事態を理解できていない様子であった。

「お前、手紙で両親に何と伝えたんじゃ?」
「え、確かブルーおじさんと一緒に違う星に逃げてくれって。地球人はどうなってもいいけど、自分の親とブルーおじさんだけには助かってほしかったから。」
「なるほど、そうじゃったか。」
「ということは、それが違う内容に変えられたってことですか!?」

 川島は思わず立ち上がった。

「川島。焦る気持ちもわかる。しかし今更どうにもならん。」
「監督。ではどんな内容に変わったんですか?」
「タピオカーンは非情は奴じゃ。あやつはお前の父親に地球を守らせようと仕向けたんじゃ。」
「なんだって!?ということは、僕がお父さんにタピオカーン様を倒してくれと頼んだことになっているんですか?」
「その通りじゃ。実の息子の願いを聞かない父親はいないじゃろ。今頃、地球で必死に修行しているはずじゃ。」
「・・・なんてことだ。今のお父さんがどう頑張ってもタピオカーン様には勝てない。ブルーおじさんがいたって。・・・ちくしょう。どうすれば。」
「タピオカーンはお前に父親の苦しむ姿を見せてやりたいんじゃろ。ここまでくると真の悪党じゃな。川島。わしに考えがある。ちょっとこい。」

 そう言うと監督は川島に耳打ちをした。

「か、監督!そんなことできるわけ・・・。」
「まあ、わしに任せておけ。その代わり、これから出発まで毎日わしの部屋にくるんじゃよ。」











posted by Flyers at 02:49| Comment(0) | TrackBack(0) | サバレンジャーforever | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月20日

第10話 あと1年

「チョット待ッテクダサイ。カワシマハアキレス星ニ来テマダ5年デス。イクラナンデモ早過ギルトオモウノデスガ。」

 ロボドリアンは短い手足を最大限に使って不満を爆発させた。そしてカマーンもロボドリアンに続いた。

「ロボドリアンの言うとおりよ〜。いくらタピオカーン様の判断と言えど、それだけは納得できませ〜んことよ。しかも、川島は地球からやってきたらしいじゃな〜いの。自分の故郷を自分の手で滅ぼせるほど非情な奴には見えませ〜んけど。ねえ〜、ぽっちゃり君。」
「・・・・zzz。」
「ま〜た寝てるわ。ほんとよく寝る子。まあ、いいわ。手羽先マンもそう思うでしょ〜?」

 カマーンは深い眠りについたままのぽっちゃり君を無視し、手羽先マンに同意を求めた。

「ほい。あたしも反対です。聞くところによると、川島の父親はあのサバレンジャーのリーダーであるイカレッドのようですし。地球に着いた瞬間裏切られたら、たまったもんじゃないですよ。」
「そうなの〜!?それは初耳だわ〜。とにかくみんな今回の地球侵略に川島が参加するのは反対ってことよね〜。ね〜川島。あんたはどうなのよ〜。」

 カマーンは今まで黙ってうつむいていた川島に語りかけた。

「・・ぼ、ぼくは・・。」
「どうしたの〜!?何か言いなさいよ〜。」

 カマーンはそう言うと川島に近づき、胸ぐらをつかんだ。そしてそれを見ていたタピオカーンがついに口を開いた。

「やめるタイ、カマーン。確かにお前らの気持ちはわかるタイ。しかし、なんで川島がここアキレス星にやってきたか知ってるかタイ?地球を滅ぼすためタイよ。川島は地球人が憎くてしょうがないタイ。裏切ることは絶対にあり得ないタイ。」
「確カニソウカモシレマセンガ・・。」

 ロボドリアンは未だ納得いかないようすでタピオカーンの顔を見た。

「よく聞くタイ。それに今回の地球侵略には川島が必要タイ。さっき手羽先マンが言った通り、川島の親父はイカレッドタイ。そこでタイ。親父が実の息子と戦えると思うかタイ?」
「あたしには無理です。なるほど、川島はイカレッドの動きを封じる人質の役目を担っているということですね。」
「その通りタイ。リーダーであるイカレッドの動きさえ封じれば、サバレンジャーの力など全然怖くないタイ。川島。協力してくれるタイな。」

 タピオカーンは鋭い目つきで川島を睨みつけた。

「・・・はい。」

 川島は真っ青な顔でそう一声発するのがやっとのようであった。

「よし決まったタイ!出発まであと1年タイ!各自体調をしっかり整えて出発に備えるタイ!いいなタイ!?]
「は〜い。」
「ハイ。」
「ほい。」
「・・・zzz。」
「・・・は、はい。」

 川島は誰もいなくなった居間で1人何かを考えているようだった。






posted by Flyers at 22:24| Comment(0) | TrackBack(0) | サバレンジャーforever | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月18日

第9話 スタメン発表

 ちょうどその頃アキレス星では、地球への出発を前にタピオカーンがタピオカ少年隊全員を自宅の居間(6畳)に集めて決起集会を開いていた。

「皆の者!よく聞くタイ!わしは親友であるタピオカ星人の仇を討つために、地球を滅ぼすことに決めたタイ!しかし、地球にはタピオカ星人を倒したサバレンジャーとかいうヒーローがいるそうだタイ!決して楽な相手ではないタイ!」

 タピオカーンがそういうと、タピオカ少年隊の1人が口を挟んだ。

「あ〜ら、タピオカーン様。確かサバレンジャーはタピオカ星人との戦いで3人を失ったらしいじゃな〜いの。残った2人で一体何ができるというんで〜すか。」

 さらにもう1人が続いた。

「ソウデストモ。我ラタピオカ少年隊ハ1人1人ガタピオカ星人ニ匹敵スルパワーヲ持ッテオリマス。タピオカーン様ノデル幕ハナイカモシレマセンヨ。」

タピオカーンは2人の話を黙って聞いていた。そして2人の話が終わるとゆっくりと語り始めた。

「なめたらいかんタイ。わしの親友の仇タイ。どんな相手でも全力で倒すタイ。いいか、よく聞くタイ!今回は少年隊の中から5人を連れて行くタイ!いつもは多くても3人だったタイ。しかし、今回は最高の5人と共にわしの圧倒的な力を地球のクズどもに見せ付けてやるタイ!」

 タピオカーンは興奮のあまりちゃぶ台を叩き割ってしまった。しかしタピオカーンの興奮は治まらず、話は続いた。

「では発表するタイ!名前を呼ばれたら返事ををして立ち上がるタイ!」

 タピオカーンがそう言った瞬間、少年隊たちの周りに張り詰めた空気が一気に流れた。

「まず1人目タイ。中性アイドルカマーン!」

「は〜い。お呼びで〜すか。また暴れられるのね〜。うれし〜い。」

 カマーンはそう言うと、タピオカーンに向けて投げキッスをした。

「カマーン!もうやめるタイ!連れて行かないタイよ!・・では2人目タイ。超精密ロボドリアン!」

「ワカリマシタ。全力デ職務ヲマットウシマス。」

 ロボドリアンは短い手で敬礼らしき動きをした。しかし、頭にはまったく届いていなかった。

「続いて3人目タイ!見た目より少食ぽっちゃり君!」

「ふぁい。やっと出番ですかぁ。・・・・。」

 ぽっちゃり君は話の途中で寝てしまった。

「ぽっちゃり君!寝るなタイ!おい、誰か起こせタイ!・・まったく、世話の焼ける奴タイ。でも、今回の戦いはぽっちゃり君の力が絶対必要タイ。よし、次4人目タイ。名古屋名物手羽先マン!」

「ほーい。あたしですか。初めて呼ばれましたわ。」

 手羽先マンは香ばしい匂いを漂わせながら言った。

「お前のその匂いが鍵を握るタイ。そして、最後5人目タイ。新人川島!」

 川島の名前が呼ばれると、一気に居間はざわついた。そして明らかに他の少年隊たちはタピオカーンに対して不信な目を向けていた。果たしてタピオカーンの胸中はいかに。
posted by Flyers at 02:36| Comment(2) | TrackBack(0) | サバレンジャーforever | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月17日

[外伝]アニョハセヨ、コリア

この手紙は、旧サバレンジャーの一員でありタピオカ星人との死闘の末この世を去ったミジンコブラックが、幼い頃に生き別れた兄シジミブラウンを探すため世界中を渡り歩いた際に残した心の叫びである。

 前略 ブラウン兄さん

 お元気デスカ。ミーは深爪デス。

 ブラウン兄さんがミーたち家族の前から姿を消してから何年経ったダロウ。はじめはいつものように近くのパチンコ大魔王に行っただけだと思ってたヨ。3日間帰ってこなくても、1週間帰ってこなくても、父さんや母さんたちは出玉が多くて持って帰って来れないんじゃないかなんてふざけていたんダ。結果はこうサ。ミーがあれほど警鐘を鳴らしていたのにネ。パチンコ大魔王は出ないッテ。因果応報ダヨ。一触即発ダヨ。

 あれから毎日、夜も眠れなかったヨ。おかげで昼夜逆転、夜眠れるようになった今も昼寝が欠かさずなってしまったヨ。19時間睡眠!残り5時間はスイミング!

 どれだけ待っても兄さんは帰ってこない。そうだ、待ってるだけじゃダメダ!そう思ってミーは兄さんを探すことにしたんダ。母さんの話によると日本はもうくまなく探したラシイ。国内じゃない・・・ヤツは海外ダ!そう思ってミーは韓国に来た。なぜかって?兄さんチゲ鍋が好きだったじゃないカ!大胆不敵ダネ。

 飛行機のチケットを買うお金がなかったから勝手に忍び込んだケド、体が小さい微生物のミーを誰も発見することができなかったネ。ざまあ味噌漬けダヨ。厚顔無恥とは言わないでくれヨ。

 ただ飛行機で誰もミーを見つけられなかったのと同じヨウニ、韓国では兄さんを見つけることはできなかったネ。日本と似ている国だし、何よりチゲ鍋が好きダカラ、見つかると思ったんだケド・・・。でもまだまだ1ヶ国目ダ。世界中を飛び回ってきっと見つけてみせるヨ。飛行機代もかからないしネ。傍若無人だけどネ。

 ああ兄さん、どこにいるんダ?韓国にはいなかったケド、この思いが伝わることを願って手紙を書いてビンに入れたんダ。これを東シナ海に投げたら、兄さんのところにきっと届くんじゃないカナ。他力本願だけどネ。

 早く会いたいヨ、兄さん。

 アナタガ、スキタカラー!

ミジンコブラック

2006年02月13日

第8話 知られざる過去

 3人になった新生サバレンジャーはその後も順調に修行をこなしていった。3人になり、さらに内容の濃い充実した日々を送れているようだった。そして2年の月日が流れたある日、いつも通りの修行を終えた3人は、先日ツタヤで借りてきた映画「いかレスラー」に胸躍らせながら家に向かって歩いていた。その時、ふとブルーが口を開いた。

「なあ、レッドヘビ。どうしてお前とオレンジは18年間も離れ離れだったヘビか?連絡先をしってるヘビなら、タピオカ星人との戦いの時だって助けを借りられたはずヘビよ。」

 レッドは、いらんことを聞くなとばかりにブルーを睨みつけた。

「わ、悪かったヘビ・・。ちょっと気になっただけヘビよ。」
「ブルー。悪いがそれだけは聞かないでくれ。一生のお願いだ。」

 レッドはそういうと一瞬オレンジに視線を向けた。オレンジは無表情でうつむいたままだった。

「レッド。わいは2人を親友と思っているヘビ。秘密にされたままじゃ、命かけて2人と一緒に戦う覚悟ができないヘビ。頼むヘビ!教えてくれヘビ!すまんヘビ。2人を疑っているわけではないヘビけど。」
「・・そうか。そうだよな。お前は俺たちに嘘偽りなくすべてをさらけ出してくれている。それなのに俺たちには秘密がある。フェアじゃないよな。俺もイチローと同じように何事もフェアプレーを重んじるんだ。わかった!すべて話そう!いいな!?姉ちゃん。」

 オレンジはようやく顔を上げ、少し投げやり気味に言った。

「あんたの好きにしな!」

 オレンジはそう言うと再び何かを避けるようにうつむいた。

「さて、姉ちゃんからの許可も出たところで話すとするか。」
「レッド。ありがとうヘビ。」
「まあ、気にするな。ブルー。俺たちは確かに腹違いの姉弟だ。そして俺が高校を出るまで一緒に暮らしていた。親に捨てられた俺たちにとって毎日が生きるための戦いだった。明日の食い物にも困る生活が続いた。俺は学校に通いながら板前のバイト、中でもイカの握りは親方に匹敵するほどだったんだぜ。姉ちゃんは中学を卒業してからずっと近くのプラネタリウムで、偽物の星のバイトに明け暮れてた。しかし、そんな夢も希望もない生活に愛想が尽きた俺は、高校を出たらイカしたタコになりたいと姉ちゃんに打ち明けた。タコの方が足も少なくてスタイルもいいしな。鍛えればタコになれると本気で信じていたんだ。俺は。もちろん、姉ちゃんは大反対だった。あの時の姉ちゃんったら、全身から何だか酸っぱい汁を出しやがって大変だったんだ。くせえし。」

 オレンジはレッドを何か言いたそうな目で睨みつけた。しかし、レッドは気にせず続けた。

「高校生という人生の中で最も多感な時期を過ごしていた俺は、そんな反対など気にも止めなかった。そして家を出る時、姉ちゃんは言った。2度と戻ってくるなってな。もちろん俺も戻ってくる気なんてなかった。しかし家を出て3日後、知り合いのタコじいさんのもとを訪ねた俺は衝撃の事実を知らされた。なんとどう頑張ってもイカはタコになれなかったんだ。そもそもまったく別物の生物なんだそうだ。早々、壁にぶち当たった俺は家に戻ることも考えた。しかし、あんだけ意気揚々と飛び出してしまった手前、そんなことできるはずもなかった。そしてそのまま18年という月日が流れたわけよ。」

 今まで黙ってレッドの話に耳を傾けていたオレンジがようやく口を開いた。

「ほんとにあんたは馬鹿よね!イカがタコになれるはずないってあんだけ言ったのに。あんたのことどれだけ心配したか!」

 何かが弾けたような勢いで話すオレンジの目にはうっすらと光るものが見えた。

「・・姉ちゃん。泣いてるのか?」
「泣くわけないじゃない!なんであんたなんかのために・・あんたなんかの・・うう。」

 オレンジは堪えきれずうずくまり声を押し殺して泣いた。

「・・姉ちゃん。ごめん。」
 
 レッドはオレンジの肩にそっと手を回し、優しく語りかけた。まさにバラ珍並の感動的シーンであった。そしてその側でブルーは誰よりも激しく泣いていた。

「スネ〜クスネ〜ク・・。」

 

 


posted by Flyers at 23:02| Comment(2) | TrackBack(0) | サバレンジャーforever | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月12日

[外伝]エピソードV ミスの復習

この物語は、アキレス星最高の指導者であり8年前に地球にて永眠された故・タピオカ星人元帥が生前書き記した自伝である。

 おまえん家、天井低くない?
 おまえん家、天井低くない?

 こんにちは、タピオカ星人です。この自伝はこの章で終わるけど、元祖あるある芸人はふかわりょうだってこと、忘れるなよ。

 クーロンを訪れた衝撃とそのときの代理店社員の対応の良さから旅行代理店を志した私であったが、ここでも即行動派の私としては帰国後すぐに某旅行代理店の門を叩いた。高校卒業まで1年余り残ってはいたが、それまでの期間アルバイトという形で籍を置くことによって少しでも早く会社に慣れ、上司のポイントを稼ごうという現実的かつ姑息な手段を取ろうとしたのだ。

 「たのもー!御社に入社したいアル!」香港帰りを引きずってはいたが、どうやらその熱意は伝わったようだった。

 翌日から私はがむしゃらに働いた。旅の素晴らしさを多くの人に伝えるため、そして日本一の営業マンになるため。小さい店だったがそれだけにやりがいもあった。毎日が矢のように過ぎていった。

 高校を卒業し正社員として就職してから2年が過ぎた頃だった。それは突然やってきた。朝いつものように出勤すると、普段は事務の綾ちゃんが一足早く開いているはずのシャッターが締まったままになっていた。そして灰色のシャッターの中に一際目立つ白い紙が貼られているのが目に入った。何やら胸騒ぎがして近付いてみると、目に飛び込んできたのは驚くべき内容の文字たちであった。

 「倒産に伴う閉店のお知らせ」        

 そんなことがあってたまるか。確かに売り上げは冴えなかったかもしれない。しかしみんなで力を合わせてやってきたじゃないか。社長も、家族同然の私たち社員に何も告げずに店を閉めてしまうなんて・・・。どれくらい立ち尽くしていただろう。呆然と張り紙を眺めているうちに、たまたま遅刻した綾ちゃんやほかの同僚も続々と出社し、そして判で押したように落胆していった。そんな重い空気の中、ふと誰かが口を開いた。

 「僕たちで新しい会社を作ろう!新しい旅行文化を創ろう!」

 それからの行動は早かった。このときばかりは私の代名詞である「思い立ったが吉日」が全員に伝染していたのだと思う。私たちは新会社「JTV」を立ち上げ、軌道に乗せるため力を尽くした。

 しかし口コミや評判がモノを言う旅行代理店業界は、新会社には風当たりが強かった。私たちは何か目玉商品となるツアーを考えなければならなかった。そのとき私の脳裏を駆け巡ったのは、2年前のあの「香港19,800円」のチラシ、そして当時から約10年前にアポロ11号が成し遂げた月面着陸のシーンだった。月に誰もが気軽に行くことができたらどんなに素晴らしいだろうか。それこそが新しい旅行文化の創造に他ならないではないか。

 翌日、ワイドショーから経済紙まで日本全国を駆け巡ったのは「月19,800円」の文字だった。いける、これはいける・・・。

 大変なのはそこからだというのは想像に難くない。NASAやソ連、月島までを走り回った。そして1978年の秋、ちょうど中秋の名月の頃だったのは出来杉英才であるが、月へ向かった我々のシャトルは無事打ち上げられることとなった。

 1000m、5000m、10000m・・・。相模原が、日本が、地球がどんどん小さくなる。大気圏を突破し安定飛行に切り替わった瞬間、悲劇は起きた。

 「ま、窓の外を見ろ!」叫んだのは男だったか女だったか、それすら今は思い出せない。

 窓の外には、宇宙服も身に付けずに暗黒を浮遊している人種たちがいた。しかし何やらこっちを見て武器のような物を構えているようだ。このままでは危ない・・・。話し合いの末、一行を代表して旅行代理店の私が彼らとの折衝に当たることとなった。私は宇宙服を身に纏い外へ出た。

 「えーっと・・・日本語話せますか?」
 「スコシダケ話セルアル」

 インターナショナルというよりインタースターだろうか。日本語が話せることにも驚かされたが、「〜アル」言葉は彼ら発祥なのかもしれないということに度肝を抜かれた。

 「あー、あなたたちは誰ですか?」
 「・・・」やはり単語力には難があるらしい。しかし英語も話せるようで、今度は私が質問を受けた。

 「Where are you from? ドコカラ来マシタカ?」
 「オー、アースアース!」
 「Achiles? Realy? We are from Achiles, too. Let's go back together!」
 「オー、センキューセンキュー」

 そう言うや否や、私は近くの星に停泊していた彼らの高速宇宙船に乗せられた。何が何だかわからないまま、それでもなんとか「アキレス」というところに向かっているらしいことは理解できた。と同時に、もう地球には帰れないことを悟った。英語を勉強しておけばよかったとこのときほど思ったことはない。

 船内での話も尽きようとしたころ、思い出したように彼らは質問をしてきた。

 「ナマエハ? What's your name?」これぐらいの英語なら私にもわかる。
 「旅岡清二。タビオカセイジ」
 「Oh, I heard "Seijin" means man from other star. So you are from Tapioca? Tapioca Seijin?」
 「イエス、イエス」

 自分の名前が聞こえたので適当に返事をしておいたのが仇となったらしい。旅岡清二と名乗ったのが、タピオカ星人と解釈されてしまったようだ。なぜ私がアキレス星に連れて行かれているのか、それはアキレス星から来たとさっき言った(いや本当は言ってないのだが)からであるはずなのに、もうタピオカ星人ということになってしまった。本当は地球人なのに。にんともかんとも。アースと言ったのにアキレスと受け取られ、旅岡清二はタピオカ星人になり・・・。この致命的なミスが、私の人生を決定付けたことは言うまでもない。小学校の通信簿に担任から「少し滑舌が悪いです」と毎回書かれていたのを今さらながら思い出した。

 ちなみにではあるが、あのとき私をアキレス星に連れてきたアキレス星人こそ、私の後継者と目されているのちのバッファロー・タピオカーンである。私のその後のアキレス星での活躍はエピソードWからYに記したとおりだ。

 あなたは何人(なにじん)か?今そう聞かれたら、私はこう答えるであろう。「それは自分の心が決めることだ」と。

 でも、何人でも、「まいっか!」
posted by Flyers at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | タピオカ星人自伝 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月11日

第7話 新メンバー

 レッドとブルーはいつものように近くの広場で修行に励んでいた。午前の修行を一通り終え、2人は昼食をとるためレッドの自宅へと向かった。

「いや〜、お前も強くなったヘビ!修行を始めた頃とは比べものにならんヘビよ。8年前以上かもしれないヘビ。」
「まあ、こんなもんよ!しかしあの必殺技さえ決まれば、さすがのタピオカーンもひとたまりもないだろうな。」
「そうヘビねえ。でもまだまだ時間がかかりすぎヘビ!」
「そうだな。どんなにすごい必殺技でも、溜めの段階で隙だらけになってしまったら意味がないからな。」
「そうヘビ!頑張るヘビよ!腹ごしらえして、またすぐに修行ヘビ!」
「おう!まっ、いつものように昼食はイカリングだけどな。」

 2人はこの修行でかなりの手ごたえつかみ、そして新必殺技をあみ出したようだった。その余裕からか2人の顔には終始笑みがこぼれていた。

「田中はん!腹減って動けないヘビよ!」

 ブルーはレッドの自宅に到着するといつものように勢いよくドアを開けた。

「・・・!?お前は誰ヘビ!レッド!早く来いヘビ!中に変な奴がいるヘビ!」
「何!?・・田中は無事なのか!?」

 レッドはブルーに続き家の中へと入った。2人はすでに戦闘態勢をとり、敵の攻撃に備えていた。

「・・・あんた。自分から呼んでおいてその扱いはないでしょ。」
「・・あ・・、お前だったか・・。」

 ソファーに堂々と腰掛けた女はレッドを見るとあきれたように言った。そして、台所から田中が慌てた様子でお茶を持って戻ってきた。

「あなた。お客さん来るなら先に言ってよね。ちらかりっぱなしじゃないの。ほんとに汚い部屋でごめんなさいね」
「いえいえ。気にしないで。」

 女はそう言うと立ち上がりレッドに近寄った。そしてレッドの顔を覗き込んだ。

「18年ぶりかしら?あんたも老けたわねえ。こう見るとやっぱり似てないわ。姉弟なのに。」
「うるせえ!姉ちゃんこそ老けたな。若い頃は少しはイケてる姉ちゃんだと思ってたのにがっかりだぜ。」
「あーら、そんなこと言うなら帰るわよ。いいの?他でもない弟の頼みだからはるばる遠くからやってきたのに。」

 女はそう言うと再びソファーに腰を下ろした。そこで、これまであっけにとられたように呆然としていたブルーが口を開いた。

「あのヘビ。わいの聞き間違いかと思うヘビけど、さっき確か2人は姉弟って・・。」
「あなた何も知らないのね。レッドから聞いてない?私たちは紛れもなく姉弟よ。まあ、腹違いだけどね。私の名前はヒトデオレンジ。よろしくね。あんたは?」
「そ、そうだったヘビか。レッドがこの前言ってた心当たりってあんたのことだったヘビね。わいの名前はウミヘビブルー。レッドと一緒に修行しているヘビ。じゃあ、一緒にタピオカーンと戦ってくれるヘビか?」
「可愛い弟の頼みだからね。あの子が私に頼みごとをするなんて初めてだから。」

 レッドは照れくさそうに視線をオレンジから逸らした。田中は未だに事態を飲み込めていないようだった。
 
posted by Flyers at 22:16| Comment(0) | TrackBack(0) | サバレンジャーforever | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

第6話 心当たり

 8年ぶりの再会を果たしたレッドとブルーは、その翌日から早速修行を開始した。しかし、8年間まったく体を動かさずに怠けた生活を送っていたレッドにとって、その修行は過酷を極めるものであった。ここでは2人が毎日こなしている修行の一部を紹介しよう。
 
 4:30 起床
 5:00 イカジョギング
 7:00 朝食(イカそうめん)
 9:00 イカダ作り
10:30 イ〜カンジな組み手
12:00 昼食(イカリング)
13:20 「徹子の部屋」観賞
14:00 イカ的イメージトレーニング
16:00 イカったタピオカーンを何とかするための必殺技を考える
18:00 カイヤ川崎と対談
20:00 夕食(天ぷらそばイカ天限定)
21:00 「キスいや」でイ〜カップルに感動する(たまに涙流す)
22:00 イカりに震えた過去の自分を思い出す
23:30 就寝

 という感じである。まさにイカに囲まれた生活を送っているのである。そんな生活を続けるうちに、レッドは当時の自分に戻っていく手ごたえを感じていた。そんなある日の夜。

「なあ、ブルー。」
「どうしたヘビ?」
「このまま修行を続ければ俺は必ず8年前の俺に戻る。いや、それ以上になる自信がある。それくらいの手ごたえをこの修行で感じている。しかし、ブルー。実際に戦うのは俺たち2人だけだろ。俺とブルー、2人が力を合わせてもタピオカーンには勝てるかどうか。」
「レッド。実はわいも同感だヘビ。今度やってくるタピオカーンはタピオカ星人の何倍もの強さとみてよいヘビ。そんな奴を相手にわいたち2人で何とかなるほど甘くはないことはわかってるヘビ。」
「じゃあ、どうするんだ。サバレンジャーはもう俺たち2人しかいないんだ。ウミユリイエローもアンモナイトピンクも、そしてミジンコブラックもみんな死んでしまったんだ。」
「ああ。わかってるヘビ。確かにわいたちには仲間が必要ヘビ。しかし、平和に慣れちまった怠け者の地球人に命をかけて戦える戦士がいるヘビか・・。せめて、死んだあいつらの血を引く奴でもいればヘビ。」
「血を引く者・・か。」
「ヘビ?レッド、心当たりあるヘビか!?」
「あ、ああ。まあな。できることならあいつの手は借りたくなかったが・・。」

 そう言うとレッドはどこかへと電話をかけ始めた。

 

 

posted by Flyers at 01:40| Comment(2) | TrackBack(0) | サバレンジャーforever | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月10日

[外伝]エピソードU クーロンの衝撃

この物語は、アキレス星最高の指導者であり8年前に地球にて永眠された故・タピオカ星人元帥が生前書き記した自伝である。

 T!A!P!ためて〜IOCA!

 アキレス星のジョーダンズことタピオカ星人です。この自伝もあと2章となってしまった。残念だがこれ以上語ることがないので致し方ない。というか既にエピソードXあたりから書くことがなくなって無理が出てきているのを懸命な読者諸君ならお気づきであろう。今日は香港旅行の話をしよう。

 香港旅行の話といってもただの旅行日記ではない。私がその後2年間の人生を、いやアキレス星に渡ったこと自体を決定させたという意味では、約22年余りの人生を決める重要な2泊3日だったのだ。そう考えると自伝に書くべき内容であることはおわかりいただけると思う。

 相模原駅前の商店街で香港旅行のチラシを見た3時間後、私は羽田にいた。成田空港はちょうどアキレス星に渡ってきた頃に開港したが、1975年時点では国際線も羽田から発着していた。初めての海外に期待に胸躍らす17歳の若者の姿は、まだ海外旅行がメジャーではなかった当時の日本で少し羽田に似つかわしくなかったかもしれない。

 チラシに記載された旅行会社のカウンターを訪れると、そこにはいかにもという感じの折り目正しいスーツ姿の係員がいた。

 「す、すいません。このチラシを見てきたアル」気分は既に香港だ。
 「そうアルか、じゃあこれが航空券アル」それは彼も同じらしい。それにしても日本における中国人はなぜ「〜アル」と喋るキャラ設定なのだろう。そんな中国語ないのに。
 「シェ、謝々」

 はじめての飛行機では一睡もできなかった。というのも緊張したわけでも映画に熱中していたわけでもなく、隣の彼が話しかけてきてうるさかったからだ。旅行会社の社員のくせに相当テンションが上がっているらしい。

 「僕海外初めてアルよ!わくわくするアルなー。香港には何があるアルかね?アルゼンチンとかアルジェリアとかもあるアルかね?」

 つっこみどころが多すぎて話にならない。それでも少なくとも彼も私と同じで旅行会社の社員のくせにはじめての海外旅行らしいということは理解ができた。

 その後の三日間、彼がアルアル言葉を貫き通したことはうざいことこの上なかったが、とても優しく尽くしていただいた。そして何より、香港の輝くような夜景は相模原では見ることのできないものだった。クーロンという場所をご存知だろうか。九つの龍と書いて九龍。いわばここが香港の中心であり、これまた相模原にはない活気を放っていた。

 海外旅行。普段の生活を忘れいろいろな文化に触れることのできる、人間が生み出した最高の文化だ。私はクーロンの地でそう悟った。クーロンだけではない。世界には私の知らない場所が星の数ほどあるはずだ。そんな旅行を作り上げ、幸せを分けてあげることのできる職業が、旅行代理店であろうことは明白だった。

 「決めた!俺は旅行代理店の営業マンになる!この星で一等賞の営業マンに!」

 クーロンの夜空に、希望に満ちた声がいつまでも響き渡っていた。
posted by Flyers at 19:50| Comment(0) | TrackBack(0) | タピオカ星人自伝 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

第5話 断固たる決意

 ブルーのいるスネークコロシアムからレッドの住む村まではおよそ1300キロという距離であったが、無一文であるブルーは公共交通機関を使用することもできず、自慢の原チャリ「ヘビっ君」に乗ってレッドの住む小さな村に向かった。そして5日後・・。

「確か、レッドの家はこの辺だったヘビなあ?」

心身ともにボロボロになりすぎて失禁寸前だったブルーはヘビっ君を降り、徒歩でレッドの家を探し始めた。

「あ、あったヘビ!いや〜、懐かしいヘビねえ。ヘビ!懐かしんでる場合じゃないヘビよ!とにかく今はトイレヘビ!!レッド!レッド!いるヘビか!?」

ブルーは激しくドアをノックし続けた。すると中から千代大海似のぽっちゃりおじさんが顔を出した。

「あれヘビ?ここはイカレッドの家じゃないヘビか?あんたは誰ヘビ?」
「おお!!何言ってんだよブルー!俺がレッドだよ!お前、命がけで一緒に戦った戦友の顔も忘れちまったのか?」
「ヘビ?お前がレッドへビか?い、いやそんなことはないヘビ。レッドはもっとスタイルが良くてベッカムに似ていたヘビ。」
「まあ、確かにこの8年で少し太っちまったかもな。何もせずに酒を飲んでは毎日ギャンブルにはしってたからな。姿形は変わったかもしれないが、俺は紛れもなくイカレッドだよ。そんなに信じられないならこいつに会ってみたらどうだ。」

 レッドが一声かけると中から田中が出てきた。

「あら、ブルーさん!久しぶりねえ。8年ぶりになるかしら。」
「・・嘘ヘビ。あんたはそっくりさんヘビ!みんなでわいを騙そうとしてるヘビよ!」
「・・ブルーさん。信じられないのも無理はないわよね。あの人の変わり様ったら尋常じゃないもの。でもね、これが現実なの。ブルーさん、落ち着いて。」

 田中はブルーを中へと招きいれ、リビングのソファーへと座らせた。そして田中はお茶を入れに台所へ向かった。

「レッド。わいはがっかりしたヘビ。タピオカ星人を倒してから8年、わいは死んでいった仲間のためにももっと強くなろうと思ったヘビ。地球が再び誰かに襲われても負けない強さが欲しかったヘビ。だから戦いが終わってすぐに旅に出たヘビ。でも、あんたは何だ。地球が平和になって気が抜けちまったヘビか!お前はそれでもサバレンジャーのリーダーヘビか!」

 ブルーは興奮のあまりレッドに飛びかかった。レッドは咄嗟に頭を手で覆い、防御の体勢をとった。その頃、田中はまだお茶を入れていた。

「ちっ、違うんだブルー!よく聞いてくれ!!俺は・・。」
「言い訳は聞きたくないヘビ!!このままじゃ確実に負けるヘビよ。タピオカ一味の強さはお前もわかってるはずヘビ。だが、お前は来なくていいヘビ。わいは1人で戦うヘビ。」
「なぜだブルー。俺も行く。行かせてくれ。」
「来なくていいヘビ!!足手まといヘビ!今のお前はタピオカのタの字も倒せないヘビ!」
「い、意味がわからんがまあいい。ブルー、聞いてくれ。俺は8年間ずっと地球人を憎み続けてきた。地球なんて滅んじまえばいいと思ってた。でも、お前と話して目が覚めたよ。俺は間違ってた。戦い続けることが俺たちサバレンジャーの使命なんだよな。ありがとな、ブルー。このまま死んでたらあの世で3人に顔向けできないところだったぜ。」
「・・・レッド。お前の気持ちはわかったヘビ。しかし、そのなまりきった体ではどうにもならんヘビ。もう無駄死にはさせたくないヘビ。」
「確かにこの体では間違いなく無駄死にするだろう。ただ、あと3年あるんだ。3年かけて8年前の体に戻してみせる!」
「ほんとにできるヘビか?」
「できるさ!修行、付き合ってくれるか?ブルー。」
「わいの修行は厳しいヘビよ!!」
「かまわん。のぞむところだ!」

 レッドとブルーの2人は互いに抱き合い、サバレンジャーとして最後まで戦い続けることを誓った。そして3年間、レッドにとって地獄に等しい修行の日々が始まることになる。

「レッド!!トイレ貸してくれ!!」

 その頃、田中はまだお茶を入れていた。

 



posted by Flyers at 00:36| Comment(3) | TrackBack(0) | サバレンジャーforever | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月09日

[外伝]エピソードT バンドヲ・メザス

この物語は、アキレス星最高の指導者であり8年前に地球にて永眠された故・タピオカ星人元帥が生前書き記した自伝である。

 タピオカー。タピオカー。わーれらーのタピーオカー。

 こんにちは。登場早々タピオカ星人オフィシャル応援歌を歌わせていただいた。この章からは地球期のことについて話そうと思う。

 そもそも、他星から来たということは言っても、私が地球出身であるというところまではあまり公にしてこなかった。そのためこの自伝を読んでいるアキレス星民の諸君は少なからず驚きを隠せないと思う。タピオカ星人と言っているぐらいだからタピオカ星から来たとお思いかもしれない。しかしおそらく小6ぐらいで配られた星座早見表をお道具箱から出してきて見てほしい。タピオカ星なんてないのだ。これで90部は売れるだろう。さらに地球時代の生活や人となりを赤裸々に語ってしまうのだからお得である。95部ぐらいは売れるだろう。

 1958年、私は福岡県大牟田市に生まれ、小学校の途中からは神奈川県厚木市で過ごした。これも明かさなかったが、執筆している1998年時点で40歳を迎えるということである。ここまで公にしてしまってはあとは同じである。まずは略歴から綴っていこう。

 中学は厚木市と相模原市の学校に通った。高校は東海大相模高校。卒業後すぐに旅行代理店に就職し、2年間の勤務の後ひょんなことからアキレス星へ。1978年のことだった。その後の20年はエピソードWからYで語ったとおりである。

 今日はそんな地球期の高校時代までの話をしよう。青春時代はギターに明け暮れた。小学校高学年から中学生の多感な時期に、ビートルズが世界中を席巻しそして解散していったのを見ていたからだろう。一日中ギターと一緒だった。朝起きるのはギターの音色、歯磨きもギターなら食事もギターに盛り、ギターに乗って学校に通った。すき焼きにはしらたきの替わりに弦を入れたし、将棋やオセロはピックで指した。そこまでギターとともに過ごしていたのはクラスでも私だけだった。しかしそんな生活からか、練習はあまりできずにいた。

 高校に入ってからは、少しずつ演奏する練習にも取り組んでいった。バンドを組むことを目標にしていたのだが、なかなかいいプレイヤーたちは現れてくれなかった。

 「あーあ、しがない毎日だなあ。俺のギタープレイは最高なのに」
 「あらせいちゃん、帰ってたの」せいちゃんとは私のことである。
 「マミー。だって今日は短縮授業だぜ」
 「そう。あんたは放課後に遊ぶ友達もいないの?」
 「そんなもんこっちから願い下げだよ。つるむのは嫌いなんだよ」
 「あんたぐらいの年の頃はダディはねえ・・・」
 「ダディの話はいいよ!二言目にはダディダディって。どんだけダ行が好きなんだよ」
 「私だって五十音で話題を選んでるんじゃないわよ、でもダディはねえ・・・」
 「あーはいはいわかりました。ちょっと出かけてくるよ」

 外に出たはいいが別段行く当てもなかった。とりあえず駅前の繁華街を練り歩いていると、ふと電信柱に貼られたチラシが目に入ってきた。

 「香港ひとり19,800円」

 香港か・・・。ギターと何も関係はないが敬愛するジャッキー・チェンのいる街だ。その頃から「思い立ったが吉日」派の私は、その足で香港に向かった。これが今後の人生を大きく左右する旅行になることを、私はまだ知らなかった。
posted by Flyers at 20:26| Comment(0) | TrackBack(0) | タピオカ星人自伝 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月08日

第4話 ブルー登場

 タピオカ星人との激闘の後、サバレンジャーの1人であるウミヘビブルーはさらなる飛躍を目指してマダガスカルへと旅立った。それから8年もの月日を経て、一回り大きく成長したブルーは生まれ故郷であるスネークコロシアムに戻ってきた。

「この街も全然変わってないヘビなあ。」

 ブルーは8年前と変わらない景色を懐かしみながら家へと向かった。

「ヘビ!!残ってたヘビか!懐かしい我が家ヘビよ!」

 ブルーは8年間閉ざされたままだった自宅のドアを開け、中へと入った。

「そうヘビ!誰かから連絡があったかもヘビ。修行中は外部との接触を断つため、ポケベルを置いていったヘビ。どこにしまったヘビか?」

 ブルーは家中を探し回った。

「ヘビ〜。確かに置いていったはずヘビなのに。どうして見つからないヘビか。」

 そう言いながらブルーはポケットに手を入れた。

「ヘビ!?あったヘビ!もしかしてずっとポケットに入っていたヘビか!?まったく気づかなかったヘビよ。」

 そのずさんな管理能力もブルーの特徴である。そしてブルーは見つけたポケベルを覗き込んだ。
 
「ヘビ!?たった1件しかメッセージが入っていないヘビよ。しかもついさっきヘビ。わい、友達少ないヘビからなあ。どれどれ?」

 ブルーは8年間で1件しかメッセージが入っていないことに少々へこみながら、そのメッセージに目を通した。

 タピオカサイライ、スグニコイ。レッド。

「こっ、これはヘビ!!」

 ブルーはすぐさま家を飛び出し、レッドのもとへと向かった。鍵もかけずに。
posted by Flyers at 20:44| Comment(2) | TrackBack(0) | サバレンジャーforever | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[外伝]エピソードY キンメダイの帰還

この物語は、アキレス星最高の指導者であり8年前に地球にて永眠された故・タピオカ星人元帥が生前書き記した自伝である。

 んちゃ!タピオカのお兄ちゃんだよ。いよいよアキレス期後期から今日までの話をしよう。

 意図せぬところからこのアキレス星にやってきて、そして即座に大統領の座に着いて約20年。妻も、私も、そして血のことだけを言えば二人の子どもたちも純粋な地球人ではある。しかし家の中での言葉はビフィズス語だし、何よりアキレス星の大統領一家だ。アキレス星民として生き、そして死んでいくつもりだった。地球のことなど思い出したことはなかった。

 この5年ほどだろうか、武力を付けること以外にも当然他星との平和的な貿易も推進してきた我がアキレス星には、あらゆる星の文化や食料が輸入されるようになってきた。サスペンダー星からは質のいい絨毯、チョコラングドシャ星からは車文化、ジェンバジェンバ星からはブタミントン・・・そのどれもが星民たちの渇いた心を癒し、彼らの生活を新たなステージへと導いていった。

 他星出身である私は大統領でありながら貿易担当大臣(貿担相)も兼任していた。ある日いつものようにアキレス星最大の貿易空港であるノリタツ・ラーハー空港へと行ってみると、たくさんのコンテナの中に見慣れた文字を見つけた。

 「EARTH, JPN」

 !!!

 私は複雑な気持ちだった。そういえば数日前にそんな書類に判を押したかもしれない。仕事に忙殺され書類の内容まで確認していなかったのだ。そうか・・・ついに地球とも対等に貿易を行える立場になったのか。そう考えると感慨深くもあり、しかし何か星民への忠誠心を裏切るような背徳感も感じずにはいられなかった。しかしやはり堪えきれなくなり、コンテナのもとへ走り去るや否やその一つを小脇に抱え込み家に持ち帰った(注・地球人である私は重力の関係でアキレス星民より力強く、当然星民がフォークリフト等で持ち上げているコンテナも片手で持ち運べるほど軽い。ただしこの場合中身が地球のものである点には目をつぶることとする)。

 家に帰ってコンテナと対峙した私は、緊張で震える両手ではやる気持ちを抑えつつその扉を開けた。それはまるで小さい頃にクリスマスプレゼントを開けるときのような、また魚の腹を包丁で切り開くときのような。あー、魚か・・・。最近食ってねえなあ。アキレス星にはないもんな。そんなことを考えながらコンテナを開けた瞬間。奇跡が起こった。

 「魚や!魚の宝石箱やー!」

 私が彦麻呂になってしまったのも無理はない。日本から初めてこの星に来たコンテナの中には、私が偶然にも魚に想いを馳せながら開けたコンテナの中には。山のような数のキンメダイが積み込まれていたのだ。これで何十年ぶりかに日本の味が味わえる。

 そうだ、地球行こ。ついでに征服しよ。魚食いたいし。

追記

こうしてタピオカ星人様他ご一行は地球へと旅立った。しかしそんな軽薄な理由からか、くしくも魚の名を冠したヒーロー「魚戦隊サバレンジャー」に死闘の末倒されることとなった。しかし私たちは決して忘れない、タピオカ星人さまを、そして彼が残してくれたものを。そしてここに誓おう、この無念は絶対に私たちが晴らすことを。
アキレス星民一同
posted by Flyers at 19:29| Comment(0) | TrackBack(0) | タピオカ星人自伝 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

第3話 決断

 お父さん、お母さん。元気に過ごしていますか。
お父さん、お酒飲みすぎていませんか。お母さん、腰は大丈夫ですか。 
僕が家を出たのが10歳のときだから、5年ぶりかな。
僕は15歳になりました。30センチくらい伸びました。顔が。
僕は今、地球にはいません。アキレス星という小さな星でバッファロー・タピオカーン様のもとに仕えています。そう、お父さんが8年前に倒したタピオカ星人の住んでいた星です。
僕は地球人が憎かった。また、そんな地球人を見ながらお酒にはしるお父さんも見たくなかった。
だから地球を出たんです。憎き地球人をタピオカーン様と共に滅ぼしてやろうとね。
そして、この前地球総攻撃の日程が決まりました。出発は3年後の文化の日です。
ほんとは嬉しいはずなのに、なんだかとても辛い。こんなに地球が憎いのに、出発が決まってから毎日のように地球での楽しい思い出が蘇るんです。お父さん、お母さん、ブルーおじさん。みんなと笑って過ごした毎日が今になって愛しくなっています。
お父さん。地球を守って。
言っていることとやっていることが矛盾しているけど、どうか許してください。最後まで本当にわがままな息子でごめんなさい。   愚息、川島ブッキング。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 男は川島からの手紙を神妙な面持ちで読んだ。そして、しばらく黙り込んでいた。

「あなた、川島生きてたんだね。」
「・・・・あ、ああ。」
「でも、大変なことになったわね。まさか、川島があのアキレス星にいるなんて。」
「あの馬鹿野郎!何やってんだ!」
「そんなこと言ってる場合じゃないわよ。あなたどうするの?3年後にタピオカーンとかいう化け物がやってくるんでしょ。」
「はー、関係ないね!!地球人がどうなろうと俺の知ったこっちゃない!」
「まだそんなこと言ってるの!?確かにあなたが地球人を憎む気持ちはわかるけど。でも、あなたが守らなかったら誰が地球を救うのよ。あなたはサバレンジャーのリーダー、イカレッドでしょ!?」
「もうこりごりなんだよ!あんな思いをするのは!」

 イカレッドは持っていた手紙を握りつぶし、壁に投げつけた。その目には大粒の涙が光っていた。

「あなた。地球を守ってください。そしたら、また家族3人で暮らせるのよ。またみんなでワイワイ暮らしましょうよ。あなたの好きなイカの塩辛、川島にも作ってあげたいのよ。あの子、もう15歳になったんですって。塩辛も食べれるようになったはずだわ。」
「・・・・・。」
「あなた!」

 イカレッドは無言で遠くを見ていた。そして、つぶやいた。

「・・ブルーは。ウミヘビブルーは確かマダガスカルに修行に行ってたよな。連絡先わかるか?」
「あ、あなた。守ってくれるのね!確かブルーさんはもう帰ってきてるはずよ。今、ブルーさんのポケベルにメッセージ入れてみるわ。」

 田中はクシャクシャで少し黄ばんだポケベルのメッセージ表を取り出し、メッセージを打ち込み始めた。
 

 
posted by Flyers at 00:05| Comment(2) | TrackBack(0) | サバレンジャーforever | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月07日

[外伝]エピソードX 定刻の逆襲

この物語は、アキレス星最高の指導者であり8年前に地球にて永眠された故・タピオカ星人元帥が生前書き記した自伝である。

 ジェーンは夫の賭け事好きにうんざりしてこう聞いた。
 
 「あなた!また賭け事やってるんじゃないの!?」
 
 すると夫はこう言ったんだ。
 
 「やってないよジェーン、嘘だと思ったら僕が賭け事をやめたかどうか賭けるかい?」
 ってね。

 こんにちは、タピオカ星人です。考えるところがあってアメリカンジョークでつかみを狙ってみたがいかがだっただろうか。前回の続きを話そうと思う。

 私が官邸に着くと、あいにく大統領は留守だった。なんでも彼はとても几帳面な人間で、会うためにはアポを取る必要があるらしい。私は翌日に面会の約束を入れ、家路を急いだ。

 明くる日は私の人生において最も重要な日となったことを記さなければならない。結論から言えば、大統領に会い、彼を瀕死の状態に追い込んだ上で私がこの星の政治(星治という)の実権を握ることを全星民に向けて発表したのである。瀕死の状態と言うと聞こえは悪いが、アキレス星で生まれた人種は死ぬ瞬間以外痛みを感じないので特に問題はない。さらになぜ私がこんなにも簡単に大統領を傷付けることができたかと言えば、まずこの星の大統領は元来世襲制であったため争いを経験していなかったという点が挙げられる。さらにはこの星と地球とでは重力に差があるため、相対的に彼らは地球人より弱いのだ。このような都合のいい設定にできるのも小説のいいところである。

 私はアキレス星を支配することとなった。しかしここからが悪夢の始まりであった。次の日から前大統領が再三に渡って復権への攻勢を仕掛けてきたのである。

 1日目、朝4時。

 トゥルルルル・・・トゥルルルル・・・。

 早朝の爽やかな空気を引き裂く爆音で我が家の電話が鳴り響いた。

 「・・・はい、タピオカですが」
 「おう、奥さんか。命が惜しければあまり一人で出歩かないほうがいいぜ」

 ガチャ、ツー、ツー・・・。

 逆襲開始の宣言は明白だった。しかし同じく地球人である妻クリープも一般的なアキレス星人と比べれば異次元の強さであったため、その日もガッツリ一人で出かけて行ったのが我が妻ながら心強いところである。

 2日目、朝4時。

 トゥルルルル・・・トゥルルルル・・・。

 「はい、タピオカでございます」
 「奥さん、昨日は見逃してやったが・・・。今日同じようなマネをしてみろ、命はないぜ」

 ガチャ、ツー、ツー・・・。

 前大統領とはいえ、地球人の強さに腰が引けて手が出せないのはわかりきっていた。その日も妻は公共交通機関で爆睡するという無防備さで出かけていった。

 3日目、朝4時。

 トゥルルルル・・・トゥルルルル・・・。

 「はい、タピオカです」
 「奥さん、バスの中で寝ると乗り過ごすぜ」

 ガチャ、ツー、ツー・・・。

 怖さのあまりか脅しが脅しではなくなっていた。妻はヨガ教室に出かけた。

 4日目、朝4時。

 トゥルルルル・・・トゥルルルル・・・。

 「おはようございます、大統領」
 「えっ、あ、おっ、おはようございます」

 ガチャ、ツー、ツー・・・。

 毎日定刻に電話をかけてくることもそうであったが、挨拶をすると挨拶を仕返してくるところはやはり律儀であった。この奇襲挨拶作戦にて前大統領の逆襲はピリオドを打った。かくして前大統領との問題も解決し、また連綿と続く世襲制の大統領一家に一般星民も愛想を尽かしていたという事情もあってタピオカ新大統領は急速に受け入れられていった。

 その後のアキレス生活は好調である。それまでの内向的な星府運営の方向を一転し、武力を付けることを志してそれも順調に育っていった。また私生活では子宝にも恵まれた。長男をミルクティーと名付けタピオカミルクティーとかけた。さらに長女のときは調子に乗ってコーヒーと名付け妻のクリープとセットにした。幸せだった・・・ほんまに幸せじゃった。あの事件で地球行きを決心するまでは・・・。
posted by Flyers at 20:27| Comment(0) | TrackBack(0) | タピオカ星人自伝 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月06日

第2話 迷い

 部屋に戻った川島はベッドに横たわり、ぼんやりと上を見上げていた。川島は迷っていた。いよいよ憎むべき地球人を滅ぼすことができることの喜びに浸りながら、どこかで地球にいる両親のことが気になっていた。
 
「僕は何を迷っているんだ!僕は地球人を滅ぼすためにこのアキレス星にやってきたんじゃないか。ようやく願いがかなうんだぞ!嬉しいことじゃないか!あははは!!」

 川島は内に秘めた複雑な感情をかき消すように無理やり笑った。するとその時、何者かが部屋のドアをノックした。

「誰だ!?」
「・・・わしじゃあ。川島、開けてくれんかのお。」
「なんだ。監督ですか。鍵はかかってないですよ。」
 
監督と呼ばれる男はそっとドアを開け、部屋の中に入ってきた。

「なーにしとる。浮かん顔して。おなごにでもふられたか。」
「・・いえ、何でもありません。それより、何か?」
「まあな。ちょっとした噂を耳にしたんじゃ。なにやら、タピオカーン様は今度地球を攻めるそうじゃないか。地球といえば、お前の故郷じゃったよなあ?」
「・・え、ええ。確かに私は地球で生まれました。しかし、もう縁は切れております。それどころか、地球人に対しては憎しみしか持っておりません。言いたいことはそれだけですか?でしたら帰っていただきたいのですが。少し1人になりたいので。」

 川島はドアを開け、監督を部屋から出るように促した。

「川島。迷っておるんじゃろ。わしにはわかる。わしはお前が5年前、泣きながらこの星にやってきてから教育係として1番近くにいたんじゃ。お前の気持ちは手に取るようにわかる。」
「な、何を言うんですか。さ!早く帰ってください!」
「まあ、落ち着け川島。憎んでいるといえど、自分の生まれた星じゃ。両親や友達も住んでおる。そんな地球への総攻撃が決まった今、捨てたと思っていたたくさんの思い出が戻ってきたじゃろ。無理もない。お前はまだ15歳じゃ。悪者にはなりきれんよ。」
「何が言いたいんですか!!これ以上変なこと言うと、いくら監督でも許しませんよ!」
「ふふふ。もう何も言わん。よーく考えることじゃな、川島。本当に大切なのは何なのかをな」

 そう言い残すと監督は部屋を出て行った。

「ちくしょー!僕はどうすればいいんだ!うおおおお!!」

 川島は泣いた。一晩中泣き続けた。

 そして翌朝。
 
 川島は手にペンを持ち、手紙を書いていた。その宛て先は・・・。


 
posted by Flyers at 20:00| Comment(0) | TrackBack(0) | サバレンジャーforever | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[外伝]エピソードW 新たなる希望

この物語は、アキレス星最高の指導者であり8年前に地球にて永眠された故・タピオカ星人元帥が生前書き記した自伝である。

 私は決意した。我が故郷である地球を侵略し、征服することを。厳しい戦いになるだろう。ひょっとしたら二度とこのアキレス星に帰って来ることはできないかもしれない。それでも私は行く。カーリングマンややせの大食いマンなど素晴らしい右腕たちが大きな支えとなってくれている。しかし万一の場合に備え、この自伝を書き自らの波乱に満ちた人生をこの星の人々に残すこととした。この自伝は後世語り継がれ、またミリオンセラーになることであろう。80部ぐらいは売れるだろう。

 この物語をお読みの諸君に、はじめに謝っておかなければならない。この自伝は全部で6つのエピソードで構成されており、大きく二つに分けてTからVまでを「地球期」、WからYまでを「アキレス期」とする。しかし地球期時代の様々な出来事を思い出すにはいささか年を取りすぎてしまった。大至急アキレステレビ(ATV)の地球支局から資料を取り寄せてはいるが、いかんせん時間もない。そこで記憶のしっかりしているアキレス期から書き始めることとする。これによりエピソードの展開はW→X→Yと行ったあとTに戻りU、Vで完結する順番となっている。この過去に例のない構成には慣れるまで時間がかかるかもしれないが、我ながら斬新だと自負している。これで85部ぐらいは売れるだろう。

 こんにちは、タピオカ星人です。さて、アキレス期序盤の話をしようと思う。私はとある理由で地球からやって来たのだが、はじめはとにかく言葉の問題に戸惑っていた。そもそもこの星に来たのも本望ではなかったため毎日ふさぎ込んでしまい、部屋で電気もつけずに膝を抱え涙にくれていた。

 来アして1ヶ月ほど経った頃だろうか。来アしたことを後悔し始め、帰国しようかな、でも来アしたからにはこの星で暮らして行こう、いや帰国したら楽だろうな・・・。「在ア」か「帰国」か。私の頭の中では天使と悪魔が朝まで生討論を始め、また喫茶店では奥さま方がどちらがおごるかで譲り合っていた。しかしそんな悶々とした日々も、ある人の登場によって一変したのだった。

 「スジャータァ、スジャータァ〜」

 私は耳を疑った。地球で慣れ親しんだスジャータのCMソングが家の外から聞こえてくるではないか。小鳥のさえずりと聞き違えるほどの美しいその声。私は表へ飛び出した。そのとき私の目に飛び込んできたのは、スジャータのように白い肌のうら若きティーンネイジャーだった。まさに褐色の恋人である。

 「あのう、すいません」
 「はい?何か」
 「一つ質問させてください。練っておいしいのは?」
 「ね、ねるねるねるね?」
 「やっぱり地球人だ、それも日本!しかもCM好きと見た」
 「じゃああなたも!?」
 「ええ、日本から来ましたタピオカ星人と申します」
 「私は高橋クリープ。よろしくね」
 (クリープなのにスジャータの歌を歌っていたのか・・・)

 その瞬間から、私たち二人の薔薇色に塗られた時計の針は動き出した。新たなる希望。お互いCM好きという共通点もあり、すぐに意気投合した。私は生涯の伴侶を手に入れ、ビフィズス語(注・アキレス星の公用語である)の腕もめきめき上達し始めた。リサ・ステッグマイヤーの日本語と比べても、どちらかといえば私の方が上手いと思う。6:4で私の方が上手いと思う。ちなみにリサ・ステッグマイヤーの本名は梨沙子・ステッグマイヤーである。最近ではトライアスロンなどにも挑戦し、今後の活躍が益々期待される。

 話を元に戻そう。家族が増え、語学を身につけた私は働くことを考えた。しかし日本で旅行代理店のいち営業マンだった私には手に職がない。さらに一周15kmと狭いアキレス星には旅行という文化がなく、代理店業もなかった。この星で私は何ができるだろう。

 そうだ、どうせならこの星で一番になってやろう。その足で私は大統領の元へ向かった。
posted by Flyers at 20:00| Comment(0) | TrackBack(0) | タピオカ星人自伝 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月05日

第1話 1枚の手紙

そのころ地球のとある小さな村では・・。

「ニュースをお伝えします。今日午後、○○県××市のスーパーヒラオカの店内で店員に殴りかかったとして、プッシュ小林容疑者を現行犯逮捕しました。」

「・・また事件か。なあ、田中。一体どうなっちまったんだろうなあ。こんなことなら、あの時地球が滅んでしまえばよかったんだ。俺はこんな奴らのために命がけで戦ったのかと思うと、ほんとに情けなくなるぜ。」
 
 1人の男が黒い涙を流しながら、過去を思い出すように上を見上げた。

「あなた。それはもう言わないはずでしょう。そんなことばかり言って働きもしないから、息子の川島だって出て行ったんじゃない。」

 田中はうんざりした様子でつぶやいた。

「わかってるよ。でも、俺は地球の平和と引き換えに親友を3人も失ったんだ。なのに、地球人ときたら平和が戻った途端に調子に乗りやがって。誰のおかげなのかわかってんのかよ。」

「あなた!もういい加減にして!」
「じゃあ、このまま黙ってろっていうのか!俺は何のために親友を3人失ってまで戦ったんだ!?あいつらもこの状態をみたら、きっと悲しむはずだ!ちくしょー!あのプッシュ小林とかいうふざけた名前の奴!ぶっ殺してやる!!」

 男は飲み干したブリックの容器を握り潰し、玄関へと向かおうとした。

「ちょっと待ちなさいよ!あなたは確かに強いわ。平凡な地球人なら一瞬で殺せるでしょう。でも、それに何の意味があるの!?自暴自棄にならないで!」
「田中、もう何も言うな。俺と関わる奴はみんな不幸になる。あの3人、息子の川島、そして妻であるお前。俺は誰ひとりとして幸せにしてやれなかった。もう生きてる意味なんてないんだよ。このまま捕まって死刑にしてくれればいいんだ。そしたら、先に死んでいった3人にも会えるしな。まあ、俺は地獄行きだろうが。」

 ビタッッ!!!

 田中は男の頬を激しくたたいた。

「何すんだコノヤロー!!」
「勝手なこと言わないでよ!あなたが死んだら私はどうすればいいの!?川島だってもういないし、私一人ぼっちじゃない!あなた変わったよ。初めてあった頃はこんなんじゃなかったわ!」
「ふふ。時間が経てば誰だって変わるさ。じゃ、行ってくる。ニュースしっかり見ておけよ。俺が出るかもしれないから。」
「あ、あなた!!」
 
 ピンポーン。

 男が玄関のドアを開けようとした時、ちょうどインターフォンが鳴り、手紙が届いたようだった。

「ん?手紙なんて珍しいな。一体誰からだ?」

 男はめんどくさそうにビリビリと封筒を破り、中の手紙を取り出した。

「おっ、おい!!田中!!ちょっと来い!」
「何よ。いきなり。」
「ちょっと、この手紙の差出人見てみろ。」
「はいはい。・・・・カワシマ??川島??まっまさか、あなた。」
「あいつだよ。5年前に出て行った俺たちの息子だよ。生きてやがったかあ!」

 2人は行方不明であった息子の川島が生きていたことの喜びを互いに分かち合った。その手紙の恐るべき内容を知らずに・・・。
posted by Flyers at 13:41| Comment(4) | TrackBack(0) | サバレンジャーforever | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月04日

プロローグ〜それから〜

 今からちょうど8年前、全宇宙の支配者となるべくタピオカ星人がアキレス星から地球にやってきた。その地球最大の危機を救ったのは、そう・・・魚戦隊サバレンジャーだったのだ。しかしサバレンジャーはその壮絶な戦いで仲間を三人失った。残された二人はその悲しみから、地球の平和を心から受け入れることができず、むしろ平和が当然のように過ごしている地球人たちに怒りすら覚える日々を過ごしていた。

 そして今・・・。

 当時タピオカ星人の家の隣に住んでいた酒屋の親父、バッファロー・タピオカーンは、親友であるタピオカ星人の死を聞き、密かに地球侵略を企んでいた。

「ウェッヘッヘッヘッへッヘ・・・。冗談じゃないですタイ。あのタピオカ星人が地球の雑魚どもにやられちまうとはタイ。許せんタイ!今度はワシが・・・このワシが!地球を滅ぼしてくれるわタイ!おい、ちょっと来い川島!」

 タピオカーンはタピオカ少年隊の一人である川島を呼んだ。

「何ですか?タピオカーン様」
「お前、確か地球で育ったんだよなタイ?」
「はい、そうですけど・・・」
「じゃあ、なんでお前は地球を捨ててこんな悪の星であるアキレス星にやってきたのだタイ?」
「はい、私は地球人が許せないんです。平和なのをいいことに、窃盗、暴力、殺人・・・そしてノーヘル。様々な悪事を平気な顔でするんです!そんな地球人のことが憎いんです!!だって、地球の平和は、昔私の父が・・・」
「ん、今なんと言ったタイ?」
「いえ、何でもありません!忘れてください」
「うーん、まあいいだろうタイ。とにかく、お前と一緒にその憎い地球を滅ぼそうと思うタイ。川島、今すぐ地球を攻める準備タイ!出発は3年後の文化の日!ちゃんと寝ておけタイ」
「さ、3年後ですか!?・・いや、は、はい!」

 川島は足早に自分の部屋へと戻って行った。
posted by Flyers at 20:33| Comment(3) | TrackBack(0) | サバレンジャーforever | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。